グローバルビジネスナレッジ
2026年05月25日配信
欧州やイギリスへの越境EC販売が加速する中、VAT(付加価値税)の登録・申告は避けて通れない課題です。VAT番号を取得しなければAmazonのアカウントが凍結されたり、通関が止まったりするリスクがあります。オプティ株式会社は70カ国以上でのVAT登録実績を持ち、日本企業の越境EC進出を支援しています。
このガイドでは、VAT登録代行サービスの選び方から、自社対応のリスク、代行サービスの比較ポイントまでを解説します。越境ECで成功するための税務コンプライアンスの基礎を身につけましょう。
VATとは「Value Added Tax」の略で、日本の消費税に相当する間接税です。EU加盟国やイギリスでは、商品やサービスの販売時にVATを徴収し、税務当局に申告・納付する義務があります。
越境EC販売者にとって重要なのは、VATは「販売先の国」で発生するという点です。あなたが日本に住んでいても、ドイツの消費者に商品を販売すれば、ドイツのVATを徴収・申告する義務が生じます。この仕組みを理解していないと、知らないうちに税務違反を犯してしまう可能性があります。
EU域内でもVATの標準税率は国によって異なります。ドイツは19%、フランスは20%、ポーランドは23%、イタリアは22%と、それぞれ独自の税率を設定しています。商品カテゴリによっては軽減税率が適用されることもあります。
価格設定の際には、各国のVAT税率を考慮に入れる必要があります。VATを含まない価格で販売して後から請求すると、顧客の信頼を損なう原因になります。事前に各国の税率を把握し、税込み価格で販売するのが一般的です。
EU域内やイギリスで商品を販売する場合、VAT登録は法的義務です。特にAmazon FBAを利用して現地の倉庫に在庫を置く場合は、その国でのVAT登録が必須となります。登録せずに販売を続けると、数年後に追徴課税と延滞税を請求されるケースが多発しています。
さらに、AmazonやeBayなどのプラットフォームでは、VAT番号の提出が求められます。番号がなければセラーアカウントが凍結され、販売機会を失うことになります。
越境EC販売者が知っておくべきVAT登録には、主に3つの種類があります。それぞれの特徴を理解し、自社のビジネスモデルに合った選択をすることが重要です。
Amazon FBAなどで現地倉庫に在庫を保管する場合は、その国での個別VAT登録が必要です。例えば、ドイツのFBA倉庫を利用するならドイツのVAT番号、フランスの倉庫ならフランスのVAT番号を取得します。
Pan-European FBAプログラムを利用する場合は、商品が自動的に複数国の倉庫に分散されます。2026年時点で、最低5カ国(ドイツ、フランス、ポーランド、イタリア、スペイン)のVAT登録が必須条件となっています。
OSSは、EU域内での越境B2C販売に対するVAT申告を一カ国で行える制度です。EU加盟国のいずれか一国に登録すれば、そこを窓口として他のEU加盟国へのVAT申告を一括で処理できます。
ただし、OSSはあくまで「申告の簡素化」であり、FBA在庫を保管している国での個別VAT登録の代わりにはなりません。FBAを利用する場合は、在庫保管国での登録に加えてOSSを併用する形になります。
IOSSは、150ユーロ以下の商品をEU域外から直送販売する際に利用できる制度です。IOSS番号を取得すれば、EU27カ国へのVAT申告を一括で処理でき、輸入時のVATも免除されるためスムーズな通関が可能になります。
重要な変更点として、2028年7月以降、IOSSを利用しない場合は販売者が各EU加盟国で個別にVAT登録と申告を行う義務が発生する予定です。この規制強化を見据えて、早めの対応を検討することをお勧めします。
コスト削減を目的に自社でVAT登録を行おうとする企業もありますが、いくつかの課題があることを理解しておく必要があります。
EU域外の企業がフランス、イタリア、スペイン、ポーランドなどでVAT登録する場合、財政代理人(Fiscal Representative)の選任が法律で義務付けられています。財政代理人とは、あなたの代わりにVATの納税義務を負う現地法人です。
財政代理人を見つけるには信用調査が必要で、場合によっては保証金の提出を求められます。適切な財政代理人を自力で探すのは、日本企業にとって大きなハードルとなります。
VAT登録申請には、法人登記簿謄本の翻訳、代表者のパスポートコピー、事業内容説明書など、複数の書類が必要です。これらを現地語(ドイツ語、フランス語、イタリア語など)で作成し、税務当局の質問にも現地語で回答しなければなりません。
書類の不備や回答の遅れは、登録の遅延や却下につながります。各国の税務当局には独自の審査基準があり、経験がないと何度もやり直しになることがあります。
国によってVAT番号の取得にかかる期間は大きく異なります。イギリスは比較的早く、10〜12日程度で番号を取得できますが、ドイツやフランスでは数週間から数カ月かかることがあります。審査が混雑する時期はさらに長期化します。
ビジネスの立ち上げを急いでいる場合、登録の遅れは大きな機会損失につながります。事前に十分な時間を確保するか、経験豊富な代行サービスを利用することを検討してください。
VAT登録代行サービスを利用することで、複雑な手続きから解放され、本業に集中できるようになります。代行サービスには以下のようなメリットがあります。
VAT登録代行サービスは、各国の税法と申請手続きに精通しています。書類の不備による却下や再申請のリスクを大幅に減らせます。また、税法の改正情報をいち早くキャッチし、適切な対応を取ることができます。
例えば、商品カテゴリによって適用される税率が異なる場合や、軽減税率の適用条件など、専門家でなければ把握しにくい細かなルールにも対応できます。
信頼できる財政代理人のネットワークを持つ代行サービスなら、必要な国での財政代理人の手配をスムーズに進められます。自力で探す手間と時間を大幅に節約できます。
オプティ株式会社は200社以上の現地パートナーと連携しており、各国の規制に準拠した財政代理人の手配を支援しています。
海外の代行サービスとのやり取りは英語が基本となり、税務の専門用語も多いため、コミュニケーションに苦労することがあります。日本語で対応できる代行サービスなら、疑問点をその場で解消でき、ミスコミュニケーションによるトラブルを防げます。
急なアカウント凍結や税務当局からの問い合わせなど、緊急時にも日本語で迅速に対応してもらえる安心感は大きいです。
代行サービスを選ぶ際には、以下の5つのポイントを確認することをお勧めします。これらを押さえることで、自社に合ったサービスを見つけやすくなります。
将来的に販売先を拡大する可能性を考え、対応国数が多いサービスを選ぶと安心です。また、実際の登録実績や導入事例を確認することで、サービスの信頼性を判断できます。
特に、EU域内の主要国(ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ポーランド)とイギリスへの対応は必須です。将来的にアメリカやASEANへの展開を検討しているなら、これらの地域にも対応しているかを確認してください。
VAT登録後は、定期的な申告が必要になります。国によって月次、四半期、年次と申告頻度が異なるため、これらの申告業務も代行してくれるかを確認しましょう。
登録だけでなく申告まで一貫してサポートしてくれるサービスなら、継続的な税務コンプライアンスを維持しやすくなります。
初期費用、月額費用、申告ごとの費用など、料金体系が明確かどうかを確認してください。追加費用が発生する条件についても事前に把握しておくことが重要です。
複数のサービスから見積もりを取り、サービス内容と料金を比較検討することをお勧めします。最も安いサービスが最適とは限りません。サポート品質や対応速度も考慮に入れてください。
Amazonでの販売には、一般的なVAT申告とは異なる独自の要件があります。Amazon FBAの取引データの処理方法や、マーケットプレイスファシリテーター規則への対応など、プラットフォーム特有の知識を持つサービスを選ぶと安心です。
過去に日本企業のAmazonセラーを支援した実績があるかどうかを確認することで、サービスの適合性を判断できます。
アカウント凍結や税務当局からの督促など、緊急事態が発生した際の対応体制を確認しておきましょう。24時間以内に初動対応してくれるか、日本語で連絡が取れるかなど、具体的な対応フローを事前に把握しておくことが重要です。
VAT登録の一般的な流れを理解しておくと、代行サービスとのやり取りもスムーズになります。以下は典型的な登録プロセスです。
VAT登録に必要な基本書類には、法人登記簿謄本(英訳または現地語訳付き)、代表者のパスポートコピー、銀行口座証明、事業内容説明書などがあります。国によって追加書類が求められることもあります。
書類の準備には通常2〜3週間程度かかります。翻訳やアポスティーユ(公印確認)が必要な場合は、さらに時間がかかることがあります。
フランス、イタリア、スペイン、ポーランドなどでは、EU域外企業は財政代理人の選任が必須です。代行サービスを通じて、信頼できる財政代理人を紹介してもらうのが一般的です。
財政代理人との契約には、保証金や月額費用が発生することがあります。これらのコストも事業計画に含めておく必要があります。
必要書類と申請書を税務当局に提出します。多くの国ではオンラインポータルでの申請が可能ですが、現地語のインターフェースのみの場合が多いです。
申請後、税務当局から追加の質問や書類の提出を求められることがあります。迅速に対応しないと、審査が遅れる原因になります。
審査が完了すると、VAT番号が発行されます。取得までの期間は国によって異なり、イギリスでは10〜12日程度、その他の国では数週間から数カ月かかることがあります。
VAT番号を取得したら、Amazonなどのプラットフォームに登録し、請求書や通関書類に正しく記載するようにしてください。
VAT登録後は、定期的な申告と納税が義務付けられます。申告頻度は国によって異なりますが、多くの場合、月次または四半期ごとの申告が求められます。
申告を怠ったり、期限を過ぎたりすると、延滞金や罰金が発生します。継続的なコンプライアンス維持のために、申告業務も含めて代行サービスに依頼することを検討してください。
VAT登録を行わずに販売を続けた場合、どのようなリスクがあるのでしょうか。実際に起こっている事例をもとに解説します。
Amazonは各国の税務当局と連携し、VAT番号の有効性を確認しています。VAT番号が無効であったり、そもそも登録していなかったりすると、アカウントが凍結されます。
凍結されたアカウントを復活させるには、VAT登録を完了し、過去の未申告分を清算する必要があります。この間、販売は完全に停止し、売上がゼロになります。
税務当局は過去の取引データをプラットフォームから取得し、未申告のVATを追徴します。本来支払うべきだったVATに加えて、延滞税や罰金が上乗せされます。
数年間無申告で販売を続けていた場合、追徴額が数千万円規模になることもあります。利益を大きく上回る請求を受け、事業継続が困難になるケースも報告されています。
VAT番号やIOSS番号がない場合、通関手続きに大幅な時間がかかります。顧客は商品の到着を長期間待たされ、場合によっては輸入時のVATを立て替えて支払わなければなりません。
このような顧客体験の悪化は、レビュー評価の低下やリピート率の減少につながります。長期的なブランド価値への悪影響は無視できません。
VAT制度は常に変化しており、越境EC販売者は最新の動向を把握しておく必要があります。特に注目すべき変更点を紹介します。
2028年7月以降、IOSSを利用しない場合は、販売者が各EU加盟国で個別にVAT登録と申告を行う義務が発生します。現在は現地の輸入通関業者が消費者からVATを代理回収していますが、この仕組みが廃止される予定です。
この変更により、IOSSを利用しない越境EC販売者の実務負担は大幅に増加します。今のうちからIOSS登録を検討することをお勧めします。
EU各国で電子インボイス(e-invoicing)の義務化が進んでいます。イタリアではすでにB2B取引での電子インボイスが義務化されており、他の国でも同様の動きが広がっています。
電子インボイスに対応するには、各国の要件に準拠したシステムの導入が必要です。将来的な規制強化に備えて、対応可能な代行サービスを選ぶことが重要です。
EU域内では、Amazonなどのプラットフォームが特定の取引についてVATの徴収・納付責任を負う「みなし供給者ルール」が導入されています。この仕組みにより、プラットフォームを通じた販売ではVATが自動的に処理される場合があります。
ただし、全ての取引がプラットフォーム課税の対象になるわけではありません。FBA在庫の保管国での登録義務など、販売者自身の義務は引き続き存在します。
オプティ株式会社のVAT登録サービスは、日本企業の越境EC進出を14年以上にわたって支援してきた実績があります。主な特徴を紹介します。
オプティ株式会社はEU、イギリス、北米、ASEANを含む70カ国以上でのVAT登録・申告に対応しています。将来的な販売先の拡大を見据えて、幅広い地域をカバーしている点が強みです。
各国の税務当局との直接のコミュニケーション経験も豊富で、複雑なケースにも対応できます。
オプティ独自のクラウドソフトウェア「MyOpti」を使って、複数国のVAT申告を一元管理できます。各国の申告期限や納税額をダッシュボードで確認でき、申告漏れを防ぐことができます。
Amazonの取引データと連携した自動申告にも対応しており、手作業による入力ミスを減らせます。
オプティ株式会社は日本語での対応が可能で、税務の専門用語も分かりやすく説明してもらえます。アカウント凍結や税務当局からの問い合わせなど、緊急時にも迅速に対応できる体制を整えています。
専門知識を持った担当者が、あなたのビジネス状況に合わせた最適な対応策を提案します。
越境ECでの成功には、適切なVAT登録と継続的な税務コンプライアンスが欠かせません。自社でVAT登録を行うことも可能ですが、財政代理人の手配、現地語での書類作成、税務当局とのやり取りなど、多くの課題があります。
代行サービスを選ぶ際は、対応国数、Amazon・ECプラットフォームへの理解、日本語サポートの有無、緊急時の対応体制などを確認してください。複数のサービスを比較検討し、自社のビジネス規模と将来の拡大計画に合ったパートナーを見つけることが重要です。
2028年のIOSS制度強化を見据えて、今から準備を進めておくことをお勧めします。適切なVAT対応を行うことで、アカウント凍結や追徴課税のリスクを回避し、持続可能な越境ECビジネスを構築できます。
VAT番号の取得期間は国によって異なります。イギリスでは10〜12日程度で取得できますが、ドイツやフランスでは数週間から数カ月かかることがあります。
審査の混雑状況や書類の不備によっても期間は変動します。オプティ株式会社では、豊富な実績をもとにスピーディな登録を支援しています。
はい、直送販売でもVAT登録は必要です。2021年の法改正以降、EU域内への直送販売でも現地でのVAT登録が義務付けられています。
150ユーロ以下の商品を直送する場合は、IOSS制度を利用することでEU27カ国への申告を一括で処理できます。オプティ株式会社はIOSS登録のサポートも行っています。
VAT申告を怠ると、追徴課税、延滞税、罰金が発生します。加えて、Amazonなどのプラットフォームでアカウントが凍結される可能性があります。
過去数年間の未申告分をまとめて請求されると、数千万円規模の支払いが必要になるケースもあります。早期の対応が重要です。
いいえ、複数国に対応している代行サービスを選べば、一社でまとめて依頼できます。これにより、コミュニケーションコストを削減し、申告漏れのリスクも減らせます。
オプティ株式会社は70カ国以上に対応しており、複数国のVAT登録・申告を一元的にサポートしています。
費用は対応国数、登録のみか申告まで含むか、サービスの範囲によって異なります。一般的に、1カ国あたりの初期登録費用と月額の申告代行費用が発生します。
具体的な費用は、販売規模や必要なサービス内容によって変わります。まずは見積もりを依頼し、複数のサービスを比較検討することをお勧めします。
OSSはEU域内での越境B2C販売に対するVAT申告を一カ国で行える制度です。一方、IOSSはEU域外から150ユーロ以下の商品を直送販売する際に利用できる制度です。
Amazon FBAで在庫を保管している場合は、在庫保管国での個別VAT登録に加えてOSSを利用します。直送販売の場合はIOSSが適しています。オプティ株式会社は両方の制度に対応しています。